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より「村」になっていく しぜんの国保育園に吹く風

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2024/05/02

社会福祉法人 東香会の各施設の施設長に、保育統括理事 青山誠がインタビューし各施設の魅力をお伝えします。
今回は、しぜんの国保育園 施設長 齋藤美和へのインタビューをお届けします。

しぜんの国保育園の概要はこちらをご覧ください


保育統括理事 青山誠:
しぜんの国保育園は、町田の忠生という場所にあって、横に簗田寺(りょうでんじ)というお寺があります。山もあって、園庭も自然豊かで、大きな築山があり、斜面もあるし、水の流れもあって、園庭に出るだけで四季を感じられる保育環境です。
園舎もとても特徴的で、回廊式の廊下には大きなガラスが嵌められていて、中にいても外の季節が感じられるような美しい園舎です。
今日は園長である齋藤美和さんに、しぜんの国の今をお聞きします。


しぜんの国保育園 施設長 齋藤美和:
しぜんの国の「今」というと、まずは美味しいものがたくさん身の回りで採れるというのが大きいかなと思っています。竹の子を掘ったり、さくらんぼの実を採ったり、あとは八重桜がお寺で咲いているから採って塩漬けにしたり。その竹の子や桜の塩漬けは、昨年からお寺で精進食堂※ が始まっているので、お寺にも採らせてもらった感謝の気持ちを込めてお渡しして、それが食堂のご飯にもなったりして。最近、そういうことが循環しているなと実感することがあります。

30年くらい前に卒園したご家族が食堂にごはんを食べに来てくれた時にお話したり。思えば、その頃卒園したお母さんも、現在食堂で一緒に働いているんですよ。この土地と食べ物の流れが一緒に繋がっていることを感じます。

青山:
環境から授かるものを上手に保育の中に取り入れていますよね。しぜんの国保育園は私たちの法人の中でも一番古い歴史がある園なので、30年前のご縁がもう一回巡って、新しい関係性にちゃんと繋がってるんだなと思いました。
一方で若い保育者が新しく入職してもいますよね。美和さんも園長になって5年目ということで、今、職員と一緒に新たに取り組んでることはありますか?


写真:砂原文

美和:
昨年から研究者の方をお招きして、2ヶ月に1回研修を行なっているのですが、研修の後、「村会」というものを開いてみんなでご飯を食べています。キッチンスタッフの三木さんがご飯を作ってくれて、それを食べながらみんなで話しているのですが、今後は保護者の方も誘ってできたらいいなと思っています。

また、ダウン症の保育者である「るりさん」という方がいるということもとても大切な変化を私たちにもたらしてくれています。もともと留学先だったイギリス・ロンドンの語学学校で出会った友人だった彼女に、一昨年声を掛けました。最初は友人と働くこと、るりさんの持ち味がどう場に作用するか思案していた部分もあるのですが、今のしぜんの国なら大丈夫だろうという思いもあり、昨年度より正式に働いています。

青山:
「村会」という言葉もそうですが、しぜんの国保育園にはsmall villageという名前がついていて、園というより、「村」というイメージの仕方がすごく特徴的だと思うんですよね。
るりさんの話もありましたが、子どもだけじゃなくて、大人もいろいろごちゃごちゃある中で、美和さん自身は、園で自分がどんなふうにいられたらいいなと思っていますか?

美和:
私自身はしぜんの国にいるときが一番楽しいなと思っています。いろいろな仕事をしているのですが、悩みながらも、子どもの中にいられるときが私は一番機嫌がいいかな。


青山:
美和さんとしぜんの国保育園に感じるのは、自然環境も豊かで、たっぷりとした環境の中で、そこにすごく柔らかくいるという感じがします。なんというか、ちゃんとしなくちゃというよりも、皆さんのたたずまいがとても柔らかい感じがするんですよね。
そういうことは職員に対して言葉で表したりするのでしょうか?美和さんが大事にしたいことを話すときに、よく言うキーワードみたいなものはありますか?

美和:
言葉になっちゃうのを気をつけてるところがあります。言葉にしちゃうとみんながそっちに合わせてしまうのが怖いから。ムードでどう表現するのか。最初は自分も自信がなかったから、言葉でどうにかしようと思っていました。
しぜんの国保育園は前園長の紘良さん(理事長)の代から年間テーマを決めていて、それを私も引き継いで、年間テーマのシンボルになる言葉を作って共有しています。今年は「ふりかえれば物語」というテーマにしました。昨年は「迷ったら笑いの方へ」、その前は「結ばれる関係性」「じっくりゆっくり」でした。このシンボル的な言葉は抽象的な言葉です。言葉にするなら、あえてそういう大きな言葉の方がいいかなと思っています。
場が淀んだ時には、「なんか、変な感じしない?」とつぶやいたり。変な感じがした時、先ほど言った、るりさんが突然踊り出したりするんです。緊迫した空気があまり好きではないみたいで、急に踊ったりするからハッとする時がある。あとは、音楽で表現するときもあります。音楽が好きな保育者だったら、この4月のゆらゆらした時は「にゃー」(U-zhaan×環ROY×鎮座DOPENESS feat.矢野顕子)みたいに行こうとか。


写真:砂原文

青山:
言語化をする時を選んでいるってとても重要なことですよね。すごいなぁ。ぜんぜん真似できないけど。でも確かに、言葉にするとその方向の事柄や意識だけが強くなるってある気がします。
では次に取り組みたいこととか、今みんなで取り組んでいることやチャレンジしようとしていることがもしあれば教えてください。

美和:
園としては、子どもの見ている風景を伝えるというときに、私たちは耳障りのいいことしかなかなか伝えられなくて、「ままならなさ」みたいな部分を伝えるのが苦手だから、そこを伝えられるようになりたいと思っています。私個人的には、実は結構根に持ったり怒ったりするタイプなのに、そう思われないみたいだから、そっちの方をどう出すかって考えています。

青山:
面白いですね。要約するとつまらなく聞こえてしまうけど、葛藤とかネガティブに捉えられてしまうような怒りとか、そういうことも含めてその丸ごとを伝え合いたいということですよね。

美和:
そうなんです。保育者は朗らかな人が多いのですが、きっと心の中はいろいろ思っています。怒りなどの感情を出すとしても、最初はある意味「戦いながら出さなきゃいけないのかな」と思っていたけど、戦わないで出せる方法や、攻撃的ではない気持ちの出し方ってあると思っていて。

青山:
私の印象では、しぜんの国保育園の保育者って、穏やかで、他者に対してまずは受容的な印象の方が多い気がしています。それが全体の空気感のやわらかさにもつながっているような。あくまで全体的な印象ですが。でも、今は皆さんで、さっき言ったような感情も含めて出すことで、出会い直しというか、対話や関係をもう一段濃くしたいみたいなことがあるんでしょうか。

美和:
うんそうです。

青山:
自分のそういう感情をちゃんと対話の中に持ち出すってすごく、実は職員同士でも大事な気がします。
そういうことと、対話の中でも、あえて言葉にする局面を選ぶっていうのが、ああなるほどと。今回は、美和さんという人と、園の話を同時に聞けてとても濃い時間でした。ありがとうございます。


しぜんの国保育園 施設長 齋藤美和

※精進食堂ときとそら Instagram


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