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子どもたち同士の「ミーティング」で次々に生まれる遊びのアイデア

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2025/01/16

大人も子どもも自分らしくいられる安心できる居場所ができたことで ワクワクした発想や取り組みが広がっている「ののはな文京保育園」の今

ののはな文京保育園は、0〜5歳児まで160人の子どもたちが通う相模原市の認可保育園です。小田急 相模大野駅からバスで5分ほどの住宅街にあります。2年前の園長交代時から「子どもの思いに近づく」を合言葉に、保育の見直しを行い、日常的に使う呼び名や役職の名称をフラットな言葉に変えたり、職員同士が対話をする機会を意識的に増やしてきました。また、子どもたち同士も安心して対話を重ねられるようミーティングする場を設けたりとさまざまな変化が起きています。
そんな中、日々保育を行う5歳児担当職員に、現在の「ののはな文京保育園」の変化についてインタビューしました。

プロフィール
りゅうせい さん 31歳(取材時)
2022年4月に東香会に入職
ののはな文京保育園で5歳クラス(33名)の保育を担当 
趣味は、キャンプ、海釣りなど


■2022年〜現在まで、ののはな文京保育園で起きている保育の変化

3歳児から持ち上がりで担任を務め、現在は5歳児クラス(33名)を担当しています。3年間同じ子どもたちと過ごしてきたので、家族のような感覚で毎日を過ごしています。
2年前に野﨑さんが園長に就任してから、ののはな文京保育園の保育は子どもたちの声をより重視する方向に変化しました。

1年目は3歳児担当だったので、大人が主導で動く部分が多いという事情もあり、この日は散歩に行く、この日はどんぐり拾いに行く、この日は部屋の中で遊ぶ。と大人の意向で決め、それ通りに過ごすというような保育をしていましたが、いまは、ウィークリーという1週間の予定をみんなが見えるよう大きいボードに貼って、昨日の遊びの続きや、ミーティングでこんなことやってみたいと話になったものが次の日の保育内容となっていくような「子どもたちのいま」を中心に据えようと毎日の生活を過ごしています。

■子どもたち同士で行う「ミーティング」で、遊びのアイデアが出てくるように。自分の正直な気持ちを打ち明ける場面では、丸ごとの気持ちを伝え合う。

2年前に保育が変化しはじめた頃から、子どもたちとの対話の時間「ミーティング」を設けるようになりました。昨年の夏頃から週に数回の頻度で徐々にミーティングを行っていきました。

運動会や夏祭りなどのタイミングでも「どんなことをやってみたいか」というミーティングをしました。「リレーと綱引きをやります」「こんな出店をします」というような大人が一方的に決めるものではなく、子どもたちからもアイデアを募り、自分たちで一度やってみて決めていくというもの。運動会のミーティングでは100種目も集まりました。そこから「じぶんがたのしい」「みんなができる」「みているひとにわかる」という3つの条件で5つに絞り、子どもたち考案の「ぼうしとりきょうそう」「変身パレード」などを行いました。


運動会のミーティング


夏祭りでの「宇宙祭り」の様子。宇宙の中でプリンセスやヒーローになって劇をやりたいということからはじまった。製作過程が他クラスの興味も引いたのか、当日は乳児の子たちも観覧に来ていた。

ミーティングで話し合われたことが運動会で実現できると、運動会後のミーティングでも、子どもたちの興味関心の発信や、次はこれをやりたい等のアイデアがたくさん出てくるようになり、クラス自体にもより一層まとまりが出てきたように思います。

ミーティングでの話し合いで大切なことは、”大人が大人ぶらないこと”だと思います。子どもは、大人が発する体裁の良い言葉を察知すると、自分の気持ちを何も話そうとはしてくれなくなります。だから、「先生と子ども」ではなく「一緒に生活する人同士」という感覚で日々いられることが大切で、そういった空気感が流れている状態になるためには、大人も子どもも、たわいもないことをおしゃべりできる関係性になっていることが大切だと思います。

別の場面では、クラスの一人の子が夕方6時ぐらいになると一緒に遊んでる子が帰ってしまい、ずっと玄関をウロウロしていることがありました。そのことについて「遊ぶ人がいなくて、すこし寂しい気持ちのときって、みんなどうしてる?」と、話を聴き合いました。

すると「一人になっても大丈夫なように◯◯ちゃんの好きな人形を持ってきたら?」「別の遊んでる人の仲間に入ったら?」「3人で遊んでたら、1人帰ってもひとりぼっちにならないんじゃない?」など、色々な意見が出てきました。自分ではない誰かの立場になって、自分だったらどうするかを考えていく、そんなところもミーティングの醍醐味なのかなと思います。

その人の気持ちになって考え、ちょっと真剣に考えてみる時間を通して、どんどん1人1人のつながり〜クラスのつながりが密になってきて、大家族のようになってきている感じというか、もちろんきれいごとばかりではないですが、そういう場面が日々の中で積み重なっている実感があります。

ミーティングの中で、話題を拾っているのは保育者ですが、話しているのは子どもたち自身で、自分たちの生活をのびのび形作っている感じがします。僕たち保育者は、生活を共にし、子どもたちの中に住まわせてもらっているという感覚があり、生活の主体がどんどん子どもに移っている気がします。

■いま5歳児クラスが夢中になっている「クラス全員33人が入れる牛乳パックハウスづくり」

いま、夢中になっている遊びは、「33人が入れる牛乳パックハウスづくり」です。これもミーティングでの子どもたちからの発案でした。秘密基地を牛乳パックで作るというコンセプトで、5歳児クラス33人全員で入りたいということで、牛乳パックが100個では足りないから、まずは1000個集めよう。と集めている最中です。


今、ご家庭から牛乳パックが640個くらい集まっていて(2024年12月時点)、集める過程も楽しんでいます。数を数えるのが得意な子は毎日牛乳パックの数を数えたり、作るのが好きな子はこうやってハウスを作るんだと考えたり、というように、自分たちが楽しめることで自然と役割分担されています。
いまは、壁がやっと出来てきました。本当に完成するのかな…と疑心暗鬼にもなりながら「33人入れるでしょう!」「2階も作りたいね、3階建てもいいね!」「階段を作ろうよ」など、そんなアイデアがたくさん出ています。どんな遊びに発展していくのか、楽しみです。

■秋にののはな文京保育園で初めて催した「花市楽座」とはどのようなイベントですか?

保育園と地域とのつながりを深める新たな試みとして、「花市楽座」というイベントを先日初めて開催しました。イベントでは、保護者や地域の方々を招き、地域のコーヒー屋さんに出店してもらったり、音楽ライブや、子どもも参加できるワークショップ、フリーマーケットなど、多様なプログラムを組み、子どもたちが自由に遊び、大人同士が地域交流できる、温かいコミュニティ空間になりました。


天気にも恵まれた「花市楽座」当日の様子

保育が変化し始めてから、保育園を地域にひらくような試みをやってみたくなり、提案しました。保育園はセキュリティ的な事情もあって、構造上閉じられた要素が強いと感じていたんですが、その反面、子どもたちを中心に気持ちを持ち合わせて作った場はみんなを包み込める空間にもなるんじゃないかなとも思っていて。みんなが共同体のような感じで同じ地域で生きているという感覚をイベントを通して伝えたい気持ちがありました。

イベントを実施することになり、保護者の方や、地域のコーヒー屋さん、お洋服屋さんも出店協力してくださったり、園の保育者も快く協力してくれました。
参加してくださった方々から、「子どもたちが楽しそうに過ごしている姿を見て、私も嬉しい」「地域の人たちと交流できてよかった」という声を聞けたのは、嬉しかったですね。


こういった試みに挑戦できたのも、職員同士が、新たな挑戦に対しても”まずはやってみよう”という安心できる土壌があったことが大きかったと思います。子どもたちのミーティングでもそうですが、普段の保育でも、大人同士それぞれが、得意なことも不得手なことを普段から見せられている関係性があって、「先生」という枠ではなく「1人の人」としてオープンになってるいるからこそ、いろんな発想が生まれてくるのだと思います。
保育園を地域にひらいていく活動は今後も続けていきたいです。


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