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パパ育休を取得した新園長に聞く 東香会で働くということ【後編】

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2023/07/05

上町しぜんの国保育園は、東京都世田谷区の中央に位置する上町(かみまち)地区にある、2019年4月に開園した東香会の中では最も新しい施設です。異年齢の関わりあいのなかで、「おうち」のようなユニット編成で大家族のようにともに暮らしを紡いでいます(定員105名)。初代園長の青山誠に代わり、2023年4月に石上雄一朗が就任しました。

今回は石上に、【前編】ではどのように保育士を志し、現在に至ったかについて、【後編】では園長就任と育児休暇取得が重なった話についてインタビューしました。

石上 雄一朗 Yuuichirou Ishikami
ニックネームは「イッシー」
神奈川県の湘南エリアに生まれ育ち、現在も在住。通勤電車は考え事をする有意義な時間。3人の子どもの父。大学卒業後に、幼稚園と小学校での教諭経験を経て、東香会に中途入職。保育士としてしぜんの国保育園(町田)の非常勤を経て、上町しぜんの国保育の開園時から正規職員となり、4年後に園長就任。

家族みんなで大ピンチをサバイブ

私は、2023年4月に園長になり、5月に第三子が生まれました。他の方の参考になるかはわかりませんが、産前産後のバタバタや制度取得についてお話ししたいと思います。

妻は産前の悪阻がひどくて仕事を休むほどに体調を崩していました。7歳の長男は小学校入学を控え、1歳の次男は地元の保育園に通い、実家は比較的近いのですが祖母のお世話があり全面的に頼ることができません。毎日仕事を終えて電車で帰宅して、残っている家事を片付けて、朝は子どもを送り出して、通勤して仕事、帰宅して家事をして…そこに出勤も重なったりして、昨年末には完全に負のループにハマってしまいました。

そんな中、園長就任の打診がありました。いろいろなことが重なり家族みんなの生活が大変になってきた中だったので悩み、家族に相談したところ「でも、あなたはやりたいのでしょ」と応援してくれていたので、気持ちを後押しされ、園長になる決心を固めました。

第三子を迎えるにあたって妻の負担を少しでも減らして、家族の生活を守っていく必要がありました。そんな状況を当時の園長 青山に相談したところ、ベビーシッターの利用を勧められました。これは、企業主導型ベビーシッター利用者支援事業という内閣府が委託する事業で、厚生年金保険を負担する事業者の従業員がベビーシッターを利用した場合、その料金の割引券を交付するものです。年度や家族構成によって条件は変わりますが、割引券によりベビーシッター利用料金が軽減されます。

自分が仕事で育児や家事をできない時間の助けになると思い、妻に利用を相談したところ「私は大丈夫だからいらない」と言われてしまいました。体調がすぐれず辛さを抱えていたのに利用を躊躇したのは、ベビーシッターの利用が日本ではまだ馴染みがなく、家の中に家族以外の人が入り子育てをサポートしてもらうということに抵抗感があったのではないかと思います。

それでも夫婦で話し合いを重ねて家族の暮らしのために利用に踏みきりました。週1回程度、平日や私が仕事のある土日の数時間ほど、ベビーシッターに子どもたちをみてもらいました。だんだんとベビーシッター利用に慣れてきて、その間に妻は家事に目を向けたり、ゆっくりお風呂に入ることができ息抜きができたようです。全額自己負担でのベビーシッター利用は難しいですが、この制度のおかげで経済的な負担はだいぶ軽減され、精神的、体力的にも助けられました。

園長に就任したばかりで育休を取るべきか?

そんな第三子の産前の大変な時期が過ぎ、4月には新園長に就任して、5月に入り出産を迎えました。7年前の第一子誕生の際は、自分の育休取得を考えもしませんでした。いま思い返してみると取得しなかったことを後悔しています。第二子の2年前には、世間的にも男性の育休取得が推奨される風潮が形成されてきており、1ヶ月間の育休を取得しました。当時は副主任をしていましたが、この期間は園長の青山や他の職員に仕事をお任せして、家事育児に集中することができました。

今回、第三子誕生にあたっては、当初は育休を取得するつもりはなく、早めに仕事を切り上げ帰宅することで対応しようと思っていました。園長に就任したばかりで、自分がいない現場がどうなるか想像がつかず心配だったからです。

青山からは「園長になったばかりで自分からは育休取得を言い出しにくいだろうけど、どうする?」と声をかけてもらい、法人の本部からの勧めもあり、育休を取得することにしました。

2022年末に制度が改正されて、それまでは1ヶ月などまとまった期間が育休期間となっていましたが、家庭や仕事の都合に合わせて、フレキシブルな日程で育休取得できるようになりました。これにより柔軟に育休期間を設定することができ助かりました。

参考:厚生労働省「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」

いわゆる「イクメン」では全然ないけれど…。

ベビーシッター利用や育休制度を活用し、園長に就任してからの日々もなんとか過ごしています。ここまで半年ぐらいの期間が大変過ぎて記憶が飛んでいて、世間で言われているような「イクメン」とは程遠い実態でしたね。

育休取得は労働者にとっての権利ではありますが、それをきちんと取得できて良かったです。法人内の他の施設長の育休取得への後押し、本部の柔軟な対応、そして何より、園の職員のサポート。仲間やいろんな人に支えてもらって成り立っていることだと実感しています。

育休に限らず、働く職員にとって東香会は「社会のうねりに向き合って、伴奏してくれる法人」です。法人内の各施設は距離的には離れていますが、施設⻑会議や、園を横断して保育のテーマを研究発表する分野別研修など、交わる機会が多くあります。「法人の集い」という全体会もあり、そこで新園長挨拶をした際も、目の前に本当にたくさんの顔が並んでいてすごく心強く感じました。また、上町で開催する園内勉強会には他の園の職員も参加するようになっていて、このように一緒に保育を考えて成⻑できる仲間が、自分の園だけでなく外にも存在していることを実感できるのはすごくいいことだなと思います。
コロナ禍を経てリアルで顔を合わせられる機会が増えてきていて、これからますます、仲間や繋がりを実感できる機会が増えそうで楽しみです。

【前編】を読む


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