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3人の子どもの産休&育休を経験してきた、勤続15年目 保育士のリアルな思い

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2022/11/14

厚生労働省によると、育休を取得して働き続ける女性の割合は増えてきてはいるものの、働いている女性の約6割が第1子出産前後に離職している状況は、この 20年間あまり変わっていないようです。

これから保育士を目指す若い世代には、将来にどんなキャリアプランを描き、それをライフプランと両立できるかは想像がつきにくかったり、不安を感じたりする人も多いかと思います。多様な価値観が尊重される世の中でも、キャリアアップ、出産、子育てに関して、まだまだ課題が多く残っているのが現状です。

東香会では近年、出産や子育てを経て復職する職員が増えています。今回は東京都町田市にある成瀬くりの家保育園の、入職15年目で現在3人の子育て真っ只中のまいさんにインタビューしました。

プロフィール
まいさん 東香会に入職して15年目(取材時)
現在は2歳児クラスの担任。弟たちの面倒をみてくれる小5の長女、のびのびとした性格の小1の長男、やんちゃな1歳4ヶ月の次男の、3人の子育て中。5年前から長女と一緒に地域のよさこいサークルに参加していて、本場の高知まで遠征して踊ったこともあります。


東香会で保育士になったきっかけを教えてください。

小学3年生の時に父の転勤で関西から引っ越してきて、それ以来ずっと神奈川県相模原市で暮らしています。なぜ、自分が保育士を目指そうと思ったのか、はっきりしたきっかけは思い出せないのですが、母親が保育士だったことや、関西にいたころマンションに住んでいて、いろいろな世代との関わりがあったことが影響しているのかもしれません。明確に将来の進路を意識し始めたのは、中学生のころの保育園での職場体験です。近所の保育園の0歳児クラスを訪問して、とても楽しかった記憶があります。

子どものころから身体を動かすのが好きで、地域の大学のイベントで目にしたチアリーディングに憧れて、部活動のある高校を探して入学しました。卒業後は、相模原市内にある和泉短期大学の児童福祉学科に入学しました。当時の和泉短期大学は、他の学校が2週間程度なのと比べて、保育実習が1施設あたり4週間と充実していたのが特徴でした。わたしは1年目には保育園と幼稚園、2年目には児童福祉施設と保育園で実習をさせてもらいました。

東香会の存在を知ったのは大学の授業がきっかけです。当時しぜんの国保育園の副園長をされていた成瀬くりの家保育園の早川朝子園長が講師を担当されていました。毎回の授業では、しぜんの国保育園での日々の生活についてお話しいただき、「こんな理想的な保育園が身近にあるのか」と感銘を受けました。四季の変化や天候を感じられるような仕事をしたかったので、しぜんの国保育園のように緑に溢れた環境で働きたいと思い志望しました。受験者が多くて驚きましたが、特技披露では、絵本を読んだり、歌を歌ったり、ピアノを弾いたりする人がいる中、わたしはチアを踊りました。

わたしが就活をした2007年当時に東香会が運営していたのは、しぜんの国保育園と成瀬くりの家保育園の2園だけでした。わたしは成瀬くりの家保育園へ配属され、早川園長のもとで現在に至るまで15年も勤め続けているので、本当に出会いは大切だと思います。

第1子の出産はどのような経験でしたか?

入職1年目は3歳児クラスを担当して、サブ担任として先輩のもとでいろいろと教えてもらいました。3年目には1歳児クラスの担任となり、23歳で結婚、4年目の2011年6月に第1子(現在は小学5年生の長女)を出産しました。その年は3月に東日本大震災があってとても落ち着かない状況で、上司や同僚に大きくなったお腹を気遣ってもらったことを覚えています。出産予定の2ヶ月前から産休に入り、翌年の3月まで育休を取得しました。

家計のこともありますし、育休後に働かないという考えはなく、そのことは産休前に園長に伝えてありました。子育ての経験がある先輩職員にも相談にのってもらいました。2011年当時の正規職員の同僚に出産や子育てをしている人は少なく、産休育休を取得する人もほぼいない状況でした。すでに小学校高学年になったお子さんがいる職員や、以前産休育休を経験したという職員がいた程度でした。

わたしの入職時には同期がいなかったので、仲の良かった一つ上の先輩が気にかけてくれました。一緒に食事に行って、育休後も働き続けたいという自分の正直な気持ちを話して相談に乗ってもらい、とても救われました。「復職後は後輩に先を越されることもあるし、家事と育児の両立がうまくいかないこともある」という話も聞いていました。1年間の産休育休を取るにあたり、周囲からの逆風はありませんでしたが、職場に戻った時にどうなるのかのイメージはないままでした。

復職と、第2子の産休と育休はどのような感じでしたか?

入職5年目の4月に、1度目の産休育休を終えて復職しました。当時、成瀬くりの家保育園は最寄り駅のJR横浜線・成瀬駅前で一時保育施設を運営していて、わたしはそこの担当になりました。電車で通勤していたので、自分の子どもに何かあった際にすぐに戻れるようにと、配慮いただけたのではないかと思います。

一時保育を担当した後は0歳児と1歳児クラスの担任を務めました。入職8年目に第2子(現在は小学1年生の長男)を妊娠し、2015年12月から産休を取得して、翌年の1月に誕生、4月には早期復職しました。

生まれたばかりの長男は2ヶ月ちょっとで首も座っていなかったので、保育園に預けることは正直悩みましたが、4月からの入園にギリギリ間に合ったという事情もあります。また、わたしの中で早く職場に戻りたいという思いが強かったのです。実は1度目の産休育休後に戻ってきたとき、職場の雰囲気の変化を感じたというのも理由の一つでした。アドバイスをくれたりと話しやすかった先輩が何人か退職されていて、組織としても少し揺れていた時期だったのかもしれません。いま、あらためて思い返すと、自分の考えすぎの面もあるのですが、当時は休んでいた間の変化につらさを感じていました。

2度目の復職後、2、3ヶ月は気を張っていたので何とか過ごせましたが、その後は体調を崩しやすく、休みをもらうことが多かったです。2人の子育ても大変で、しっかりと育休を取得しておくべきだったと後悔しました。そのときは2歳児クラスのサブを担当しました。初めて担任となった後輩がとてもしっかりしていたのと、産休育休を経験された非常勤の方もいたので大変助けられました。

一方、生後すぐに地元の保育園に預けられた長男は、園の中でも一番年下なのでみんなにとても可愛がってもらいました。乳児から幼児になっても先生の膝に座っているような甘えん坊です。全く人見知りせずに誰とでも遊べる子に育ちました。

第1子、第2子の出産と復職で大変な経験をした後、さらに第3子の産休と育休を取られたのですよね?

1人目、2人目の出産では、わたしも元気で悪阻もあまりなかったのですが、第3子(現在は1歳4ヶ月の次男)の妊娠中に大量出血して入院することになってしまい、数ヶ月の自宅安静となりました。体調が安定して1ヶ月間だけ復職した後に、2021年4月から産休に入って6月に出産しました。前回の反省も踏まえて、しっかりと1年間育休を取得しました。2022年4月に復職して、現在は2歳児クラスの担任をしています。

まいさん

 

3人の子どもの産休と育休を経て思うことは?

3度の産休育休を経ながら、15年間同じ職場で正規の保育士として勤続できているのは、同僚や家族に助けられているからだと実感しています。第3子の出産の際に実家の近所に引っ越し、母が手厚くサポートしてくれています。

早番勤務は朝7時なので、自分の子どもを預ける保育園はまだ開いていません。遅番勤務は19時までで帰宅時間は20時になります。自宅の近所でなるべく遅くまで預かってくれる保育園を探して、日によっては母が孫たちのお迎えに行ってくれて、わたしの自宅まで送り届け夕飯を食べさせてくれています。

母も現役で介護職として働いているので、1ヶ月前にお互いの勤務予定を共有して、家族LINEで日々の連絡を取り合いながら予定を調整しています。夫は土日勤務もある仕事でしたが、長女が産まれたころに土日も比較的休みの取りやすい職場に転職しました。わたしは月一で土曜日出勤もあるので、夫や父親とも協力して家族がチームとなって3人の子育てに取り組んでいます。

■早番の日の1日の流れ
5:00 起床
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6:50 出勤
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15:35 勤務
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16:00 保育園にお迎え後、学童にお迎え
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帰宅後 夕食やお風呂
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20:00 子どもたちの自由時間
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21:00 子どもたちと一緒に就寝

■遅番の日の1日の流れ
家族を送り出し、お気に入りのポッドキャストを聴きながら、その日の夕食の準備
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10:15 出勤
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19:10 園の戸締りなど
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20:00 帰宅。子どもたちのお迎えや夕食は母が担ってくれている。
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自分の夕食や入浴などを済ませて就寝

慌ただしい毎日の中で、生活と仕事のバランスを取るために心がけているのは、たくさん寝ることと好きなものを食べることです。わたしは、困っていることや悩んでいることを自分から発することが苦手な性格で、自分の中に溜め込みすぎてしまい失敗することがあります。そんな様子を気にかけてくれて、園長や同僚がちょっとしたタイミングに声を掛けてくれます。急な事情で休みをもらう際にも「大丈夫?」と声を掛けてもらえることで、気持ちがだいぶ和らぎます。人員配置についてもいろいろな思いや考えを持って決めてもらえていると感じています。

現在の2歳児クラスでは若い先生方とチームを組んでいるので、1人で考えすぎないように一緒に考えることを心がけています。そして今度は、わたしが後輩たちを支えてあげられる存在になっていきたいです。


わたしの施設のお気に入りスポット
園の中庭には「ミカンの木」があり、毎年大きな実がなると園児みんなで収穫しています。数を数えると300個くらいにはなります。

成瀬くりの家保育園のみかん

 

東香会より
まいさんの場合はご家族のサポート環境がありますが、実家が遠方など、サポートの受けづらい職員も安心して子育てできるように、東香会では内閣府企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の導入等を進めています。


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