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しぜんの国で働くということ 栄養士の柴田さん 〜「まざるラジオ」のトークから〜

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2021/03/30

柴田さんは、東香会で働く栄養士。子どもたちが「食べたい!」と思える栄養バランス満点のメニューづくりにおいて豊富なノウハウと経験を持ち、いつも明るく気さくな柴田さんは、他の職員に頼られる大先輩。東香会で働いて20年、時代の移り変わりとともに、子どもたちの食を見つめてきました。子どもと「食」、そして柴田さんが働く上で大切にしていることについて伺いました。

*この内容は、園直営のカフェ、small alley cafeのPodcast番組、「まざるラジオ」での会話を中心に構成しています。

柴田さんってどんな人?

お母さんの手料理で食に興味を持つように
母親がものすごい量の料理を作る人でした 笑。3、40cmの寸胴の鍋いっぱいに糸を巻いた焼き豚みたいなものが20本ぐらい煮込まれていたり、魚介のトマトリゾットみたいな料理が炊飯器いっぱいに炊けていることもありました。好奇心旺盛で、人から聞いたのをすぐ家で作る、という感じで。母が作るご飯は美味しいなあと思っていました。

寸胴いっぱいに煮込んだ豚肉はお裾分けも。お母さんが作ったトマトリゾットを思い出して作ったパエリアは目にも鮮やか!


しぜんの国を知ったきっかけとは?
子どもたちが小さい頃、私自身も絵本を読むのが好きになり、絵本に関するイベントに足を運びました。そこにいろいろなブースがあったのですが、中でも当時しぜんの国が出版した「ものがたりメニュー」の本を紹介するブースがとてもおしゃれで、まるで森の中にいるような見せ方をしていたんです。面白いメニューを作っている保育園があるのだな、と思い名前を覚えていました。ある時、給食スタッフを募集している、という広報を見て調べたところ、園の場所が自分の家のすぐ近くだとわかり、応募してそれからのご縁です。

しぜんの国の「ものがたりメニュー」とは?
しぜんの国で35年以上続いている独自のもので、これまで3冊本が出版*されています。当時は子どもが食べたい気持ちになるとか、絵本で知り合った主人公のご飯を登場させるとか、子どもが食に向かう気持ちを高めるための見た目が魅力的なメニューが多かったと思いますが、今はそれぞれの食材の物語を反映したり、子どもたちの日常の中で流行っている遊び、例えば「おばけ」をイメージできるお菓子を作ったりするなど、時代とともに変化しています。

*「子どもがよろこぶお料理アイデア おいしいものがたりメニュー」ほりい かや、しぜんの国保育園共著 鈴木出版 1998年、「物語メニュー」社会福祉法人東香会 編集 ごま書房 2004年、「ものがたりレシピ」あべ みちこ著、しぜんの国保育園 監修 幻冬舎 2007年。



食を通して感じる季節
季節を追いかけているとワクワクします!例えば、重陽の節句では菊の花を取り入れています。子どもはお浸しの中に菊の花が入っていても、そんなに食べたがらないかもしれないですが、花びらを取る下準備を手伝ってもらうと、食べてみようかな、っていう気になったり、花の「がく」の匂いを嗅いだり、それをイヤリングにして身につけてみたりして。作業に関わることで興味を持つんですよね。

おせちパーティーの食卓。季節を感じる節目のメニューは、しぜんの国で大切にされている。


梅の実から「へた」をとる作業は子どもたちも一緒に。こうした下ごしらえを手伝うことで、その日のごはんが子どもたちの「自分ごと」になる。


地域の大人・子どもたちと作る食のイベント
しぜんの国のイベントには必ず「食」が登場します。匂いや味が、記憶に残るじゃないですか。今回のフェス(small alley fesという毎年開催の遊びあり食ありライブありのお祭イベント)も、感染症予防のためリモートで行ったのですが、職員の故郷の美味しいお米を使って、ガラスの器で炊いてお米がポコポコしている様子を見せて、炊けたご飯でおにぎりを作る、という動画を作りました。

small alley fesでお米が炊ける様子を伝える。15分でほかほかごはんの出来上がり!


また、子どもたちはこの地域で生まれて育っていくので、地域の方との関わりも大切。ここが故郷になるわけですから。食の思い出を作って、五感を刺激して、地域の方の思いも一緒に食べていくのも素敵だと思います。色んな大人が関わってくださることに感謝しています。

自粛期間で職員が実家に帰省できない時に、昔食べていた思い出の味を募集したところ、関西方面出身者から「たこ焼き」、「お好み焼き」、というのが出てきたんです。すると、地域コーディネーター*が、たこ焼き名人がいらっしゃるというので繋げてくださったんですね。その方が焼いている様子を子どもたちが見て、アツアツを食べる、という経験をさせていただきました。たこ焼きが焼ける様子も子どもたちにとっては面白いですよね。

*small alleyには園と地域の企業・住民の方々を繋ぐ役割を担う地域コーディネーターが常駐している。

毎日自宅で食事を作る保護者の方々の気分転換になればと、自粛期間中にお弁当を販売した。園と、保護者や子どもたちとのコミュニケーションになるように、職員がしたためた詩と、イラストが添えられた。


保育園の栄養士として、渋谷東しぜんの国こども園のリーダーとして
安心安全のために衛生面に気を配るのはもちろん、無駄がでないように発注量にも気をつけます。好みや栄養のバランスも考えなくてはいけません。一番大切にしたいのは、働いている人たちのやりがいや健康面。例えば、暑い時に熱い作業をしたり、重たい物を持ったりすることもあるので、そういう作業が一人に偏らず、みんなでできるように目を配ります。食べる人の安全安心は大切ですが、作る人が健康でないと、美味しいものは作れないんじゃないかなと思います。 

年齢も性別も違う職員がいるので、色んな人の化学融合というか、みんなでやる楽しさを感じてやっていけたらいいですね。「職場は人生のゴールデンタイム、昼間の一番いい時を共有している仲間なんだから、そこが楽しくできないといけない」、っていう言葉を聞いたことがあります。この場を大切にしたい、と思いながらやっています。

結構複雑な作業も多いんですけど、みんな前向きで、チームの一員として、またそれ以上に意見や主体性を持って働いてくれます。最初は(家庭料理とは違う分量や調理の仕方に)不慣れでも、ある時から味噌汁が抜群においしくなったり、自ら考えながら作っている。そういう変化の瞬間が、素敵だなと思います!



「まざるラジオ」Podcastでは、この他にも季節の食材の話などのトピックもお話していますので、ぜひお聴きください。
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