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「まちの保育園」の皆さんとの交流会レポート

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2019/03/08

2月、「まちのこども園こたけむかいはら」の皆さんと、町田しぜんの国保育園で交流会を行いました。

園の施設や、ふだんの保育の活動を説明するツアーを行った後、グループディスカッションを実施。両園の保育士さん同士、様々な気づきを得る機会になりました。


ツアーでは、「けんちくの部屋」、「アトリエ」や「図書室」など、それぞれの部屋を巡回し、どんなことに取り組んでいるのかご説明しました。まちの保育園の皆さんからは、建物は部屋に適度な生活感があること、図書館の小部屋のように、大人の視界を遮れる場所があることが良い、といった感想をいただきました。

後半の意見交換会では、小さなグループに分かれ、子どもたちの活動に関する大人の介入のあり方や、人材育成、保育士の部活*といった点についてディスカッションしました。

*園では現在身体、美術、建築など6つの部活があり、それぞれが緩やかに連携しながら、特技を保育に取り入れる活動をしている。

園の掲示板に掲げられている、部活月次計画表。


「安易に危ないからできない、とするのではなく、どうやったらできるか、子どもとの対話の中から方法を試していきたい。」

「たくさんの子どもたちをまとめる大変さの中で発生する日々の迷いも、みんなにとって大切な軸を持つことで立ち返り、良い距離感を作っていけるのでは。」

常に人と向き合っている保育士の先生ならではの話し合いになり、普段迷ったり悩んだりすることが、次の気づきに繋がる。そんな前向きな気持ちを共有できました。

最後に理事長からは、園舎について、どんな背景や経緯、思いがあるのかをお伝えしました。


「1979年設立されたしぜんの国保育園は、老朽化に伴い2014年に園舎を新設、今のsmall villageができました。small villageができる前、複数の保育士とともに北欧に研修でフィンランドとデンマークを視察しました。そこで一番学んだことは、子どもがいる場所と大人の世界を切り離さない、ということです。

保育園は、ともすれば子どもしかいない場所になってしまう。パッとみた瞬間に全てが子ども仕様になっているのは違和感があったんですね。北欧では、家の中に子ども視点のものがありつつ、大人も過ごしやすい設計になっていた。それを目指したいと思いました。この園の人数は多いので、そこで見たものと全く同じ作りは無理でも、村をコンセプトに同じような空間を作り上げました。

環境がどんなによくても、人がいなければ場は成り立ちません。では、どうやってその場所を作っている人たちにフォーカスするのか?という点が、しぜんの国にとっての課題でした。

その人たちをよく見て、よく話を聞いてみたら、実は色んなものを持っている人が集まっていた。絵が得意な人、ドラムを叩く人。コツコツ何かをあたためて磨き上げてきた人。僕には見えていない世界をもつ人たちだらけでした。保育者という以前に、その人がどうやって人生を積み上げていったのか、ということに興味がありました。それが「部活」に繋がったんです。

今は6つの部活がありますが、境界線は曖昧にしています。その人たちが得意なことを使わない手はないし、それを活かせば、その人たちにしか作れない、真似のできない場になるはず。それを見ていたいと思います。認可保育所なので、子どもの生命を守る「養護」の部分はしっかりと果たしていくけれど、場にいる人それぞれがどう物事を感じていくかによって、自然に場所も人も育っていくと良いなと考えています。

一つの職場にずっといると、視界が狭くなったり、モヤモヤしていたことを他者と共有することによって見えてくるものがあります。今度はまちの保育園に伺うなど、こういった交流の機会をぜひとも続けていきたい、としてこの会を締めくくりました。