NEWS

海外研修経験談〜イタリア レッジョ・エミリア〜

art, event, group-study, people, recruit, report, small alley, toukoukai

2021/06/14

東香会ではこれまでに海外研修をおこなってきました。新型コロナウィルス感染拡大の影響により現在は海外研修が難しい状況ではありますが、また実施できる日を待ち望んでいます。

以前おこなった海外研修の参加者で、イタリアのレッジョ・エミリアに訪れた宏介さん(保育士・マネージャー)による海外研修経験談をお届けします。(聞き手:安永哲郎/東香会 理事)

*この内容は、サウンド園庭2020「レッジョ・エミリア探訪経験者 篠原宏介(東香会 保育者)&安永哲郎 トーク」での会話を中心に構成しています。

ーー宏介さんは東香会の研修で実際にレッジョ・エミリアに行ったんですよね。

はい。東香会が主催する職員研修で行きました。(入職5年目頃)
レッジョ・エミリアの街の雰囲気として一番印象的だったのは、空の景色。曇りだったのでどよんとするのかな?と思っていたのですが全然そんなこともなく、独特な居心地の良さを感じました。空の色と静かな街並みの雰囲気がすごく良かった。

ーー実際に保育園ではどんなことをしたのですか?

一通り子どもたちの遊んでいるところを見学し、現地の保育者の方々と対談しました。子どもたちのすぐそばにいる大人ってどういう表情でどんなことをしているのかな、ということに興味があったので観察していたのですが、日本の保育者たちもイタリアの保育者たちも変わらないな、という印象を受けました。見学したのが1〜2時間だったので、もしかしたら表面的な部分しか見えていないかもしれないですが。

ーーどんなところが変わらないなと思ったのですか?

ちょろちょろしている子がいたら、ガッとつかまえてちゃんと叱っているし、声のボリュームも活気があったりとか。

例えば、見学の際、3歳児クラスの1人の女の子が部屋の中を走り回っていたんです。たくさんの見学者が自分に視線を向ける状況に気持ちが高揚し、楽しい気分になっていたのではないかと思います。

それを見たクラス担任が一度遠くから声をかけたのですが、その子には声が届いていないようでした。口調がやや強かったので、私が入室する前から何度も声をかけていたのかもしれません。
クラス担任はその子を追いかけ、一度動きを止めて目線を合わせ、名前を言った後に真剣な眼差しで何かを話し伝えていました。

いつもと違うのが楽しいというその子の気持ちはすごく共感できるし、同時に保育者の気持ちもわかる。何か今このパワーを活かせないか。だけど怪我しそう。どうしようかという気持ちを持って、クラス担任は静止する判断をした。
この子どもと大人のやりとりは、日本で保育している私もたくさん似た場面に直面しています。イタリアのレッジョ・エミリアの保育士だから、日本の保育士だから違うということではなく、接し方は意外と変わらないんだなと思いました。
先生という感覚ではなくて、子どもたちのすぐそばにいる大人たち、というような。

ーー同じように同じ場にいる人たち、ということですね。

はい。そういう括りの中で見ると、あまり変わらないんだなというのが勉強になりました。ここに子どもたちのいきいき、もしくは僕らのいきいきにつながる何かがあるのかも、という学びがありました。

ーー面白いですね。日本でレッジョに興味のある人たちのイメージだと、何か特別なんじゃないかとか、何か向こうでしかできないことがあるんじゃないか、と期待して見てしまいがちだけど、実際に行くとすごく近い部分が感じられたという。

そうですね。そこが面白かったです。

ーー逆にここは特別だな、日本と違うなと思ったところは?

レッジョの建物の2Fに「光のルーム」という暗い部屋があり、そこで子どもたちだけで遊んでいる。現地の保育者に「大人が子どもたちを見ていなくて大丈夫なんですか?」と質問したら、「環境が見ています」と言うんです。

ーーおおー。

「環境が見ています」と言い切る。ここって、かなりその場を保育者たちがデザインしていなければいけないし、自信がなければいけない。その子と保育者の信頼関係がしっかりしていて「この子はこうだからこうだよ」という情報があるからこそ言い切れる。「環境が見ている」という言葉を聞いて、そう言い切れるのはすごいな、と思いました。

ーー見えないものを信じてる感じがしますね。

そうですね。

実際にレッジョ・エミリア市での教育を経験された方にお話を伺った動画を、東香会のYouTubeチャンネル「ひがしにかおる」に公開しています。ぜひご覧ください。

東香会の採用情報はこちら